カメラを止めるな!

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ONE CUT OF THE DEAD

ZOMBIE CHANNEL

CAMERA WO TOMERUNA

 

カメラを止めるな!

 

DIRECTOR'S  MESSAGE

巨大ザメや恐竜から逃げ回ったり、ターミネーター同士が銃をぶっ放しあったり、ブラックスーツのマフィアがカフェで無駄話に講じたり……。映画はフィクションだ。壮大な大嘘だ。でも時々、その大ウソの中に”本当”が混ざってくる時がある。その”本当”が映画をスペシャルなものにしてくれる。

 

斬新な構造、練りこんだ脚本、入念なリハーサル……でもそれだけじゃ”よくできた映画”で終わってしまう。映画を撮る前、そんな生意気なことを考えていた。手に負えないことに挑もう。37分のワンカット、スラップスティックなドタバタ、大人の組体操。そんな不可能なミッションたちに挑めば、自ずと余裕はなくなり、僕らの”本当”という名の血しぶきが現場に飛び散り、映画をスペシャルなものにしてくれる……。よしよし、なんて考えていた。なんという恐謀で良かった。完成した映画を観てそう思った。あの夏、僕らは無敵だった。

 

ワンカットでレンズに血がかかる場面、あれはガチのトラブルだ。あの場面はもう二度と撮れない。

クライマックスの組体操は本番当日まで一度も成功できなかった。何度練習してもできなかった。大人が組体操を作るのは至難の技なのだ。なんとか成功できた15秒。それが映画に映っている映像だ。みんなバランスをとるのに必死で演技なんてしてない。あの15秒はもう二度と撮れない。

最終日、その最後の最後に撮影した。あの笑顔は、『ONE CUT OF THE DEAD』の撮影を乗り越えた登場人物としての笑顔なのか、それとも『カメラを止めるな!』の撮影を乗り越えた俳優としての笑顔なのか、恐らくどちらでもない。嘘と本当の間で揺れている笑顔。あんな笑顔はもう二度と撮れない。

 

この映画は、練りこんだ脚本と入念なリハーサルを経て撮影されたフィクションだ。しかし、 それと同時に二度と撮れないショットが詰まったあの夏の僕らのドキュメントでもある。お客さんを楽しませる娯楽映画でもあり、僕らの挑戦の記録映画でもある。

 

この映画は、いまどき、人が転ぶ場面が沢山ある。走っては転んで。起き上がっては、また走って。あの夏、僕らも転げ回りながらこの映画を撮っていた。転ぶのは走っているからだ。転ぶのは余裕がないからだ。手に負えないことをしないで、何が映画だ。

 

ずっとずっと転べる大人でいたい。転げまわるように映画を撮っていきたい。

 

上田慎一郎

 

このハチャメチャさは『少林サッカー』以来の大爆笑でした。

公開当日に足を運び、満員御礼の観客をよそ目に声が裏返って笑っていた。

ワンカットでは、不可解な間を感じてはいたが、ガチでゾンビ映画が続くのかヒヤヒヤしてしまった。新しい手法で放り込まれた展開が、どんどん笑いの渦へと後押ししてくる。無名俳優と聞いていたが、キャラの濃いメンツにどんどん引きずり込まれていった。最終的には予想を裏切るダイナミックな笑いのツボを刺激してくるのだ。

この夏、映画界に殴り込んで来た熱いヤツが放り込まれた。

 

見逃せないだろう!!!

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